王 琳琦 さん(比嘉研究室)
技術経営の学びを通じて日本企業を理解し、コンサルタントとして日本で就職
- 修了年
- 平成23年3月(留学生)
- 現職
- アクセンチュア株式会社 女性 20歳代
- プロジェクトレポートのテーマ
- ICTツールによる企業内ソーシャルキャピタルへの影響評価に関する研究
- 指導教員
- 比嘉邦彦 (比嘉研究室の紹介はこちら)
インタビュー
Q MOT(研究科)を知ったきっかけや受験した動機について教えてください。
A 同級生の友人から紹介されました。説明会には参加できなかったので、どんな先生がいるかをwebで調べて、比嘉先生にアポイントを取って進学について相談しました。比嘉先生を選んだ理由は、情報工学科という学部の出身ということもあり、ITを使って何ができるかを考えて決めました。比嘉先生の人柄がとてもよく、ご専門でもあるテレワークにも興味もありました。大学院への進学は、東工大を第一に考え、結果として技術経営専攻に進学できました。学部の先輩の話を聞いたときに、就職先のキャリアがメーカーやプログラマーが多く、自分には向いていないと思っていたこともあり、思い切って進学先を変えました。他の大学は考えず、東工大への進学を第一に考えました。
Q 試験対策(英語、筆記、面接、研究計画書等)としてどのような準備をしましたか。
A 自分の学科の受験を経由して進学することができたのは助かりました。大学院への進学は、リスクもあったのでほかの大学院も保険をかけて受験しました。
Q 学習環境の面などで、実際に入学した後にやってみてよかったことがあれば、お教えください。
A 先生にTAを紹介してもらって学費にあてることができたのは、経済面で助かりました。研究テーマを決めるにあたって、企業と共同研究でできるテーマがあり、仕事として経済的にサポートをもらえてありがたかったです。
Q 在学中に学んだことや生活を教えてください。
A 研究科に進学して一番よかったと思うのは、学友に恵まれたことで、フルタイムの学生は皆、自分と感覚が近い人が多く、とても意気投合しました。就職活動も授業もいろいろな面で相談しあうことができました。社会人の皆さんからは、たくさんの助言をいただくことができました。今の仕事をしている中で、学生時代に学んだことそのものを直接思うことはありませんが、比嘉先生の話を思い出すことなどはありました。とくに、ゼミなどのグループディスカッションで鍛えられたことが、今の仕事でもとても役に立っています。
Q 印象的だった科目や先生についてお教えください。
A 比嘉先生のテレワーク概論はよく憶えており、歴史や背景から事例や物語をしっかり学ぶことができました。社会人の方とグループを組んで、テレワークでできる仕事とそうでない仕事を議論したりしたのは印象的でした。田辺先生の経営者論セミナーも、社会人になってから企業経営者の話を聞く機会が重要だったことを改めて認識しています。今の学生には、少しでも興味があれば積極的にかかわってほしいと思います。
Q ゼミでは具体的にどのようなことを学びましたか。
A ゼミでは、文献の輪読もあり、いろいろ自分で調べてやることがよかったと思います。研究テーマにも縛りがなく自由にやってよく、ゼミの中での発言も自由にできたので、自分にとってはやりやすい環境でした。合宿も年に1回は行って、研究発表や議論などとても楽しかったです。
Q 履修科目のプランはどのように立てましたか。
A ITやテレワークなど興味のある科目は優先して履修し、同級生同士でも相談して選びました。課題の多いものはバランスを取りながら履修しました。最初のお試しの講義で内容を聞いて、履修するかどうかも検討しました。
(講義科目のリストはこちら)
Q プロジェクトレポートにはどのようなテーマで取り組みましたか。どのようにテーマを決めたか、どのように研究を進めたかなどとあわせて、お教えください。
A 比嘉先生に相談してアドバイスをもらいながら、企業との共同研究をテーマにしました。実際に仕事で使っているICTツールで新しい取り組みだったので、興味をもって取り組むことができました。実データを使って、半年間くらい定期的に先生とゼミの先輩、企業の担当の方と打ち合わせをしながら傾向をみたりして検証をしました。まとめるときは、何を主張するかをまとめるのが難しかったのですが、先生のサポートもありうまく整理できました。
Q 社会人学生との交流はどのようなメリットがありましたか。
A ディスカッションやまとめ方など話し方などは参考になりました。研究室の先輩には、就職活動のときも多様な企業に勤めているので、面接のアドバイスなど相談してもらいました。TAを通じて知り合ったフルタイムの先輩の話も、希望していた就職先が同じだったので参考になりました。
Q 留学生同士の交流はありましたか(他研究科等も含む)。
A 田町の授業が多かったのでイノベーションマネジメント研究科の仲間が中心で、大岡山のときは学部の時の友人が多かったです。今でもつながりがあってよかったと思っています。
Q 苦労したことと、どのように乗り越えたかをお教えください。
A 苦労したのは研究でなかなか結果がでなかったときです。就職も決まっており、心配していましたが、比嘉先生やゼミの先輩に相談にのってもらい、乗り越えることができました。
イノベーションマネジメント研究科だからこそというのは、希望する分野(コンサルタント職)に就職できたこと自体は大きいと思います。その当時、留学生は日本語力など条件が厳しかったのですがが、MOTのおかげで就職につながったと思います。M1(修士課程1年)の終わりで内定をもらえたのですが、就職関連の情報が東工大の中でははやく入ってくる環境もよかったです。
Q MOTで学んだことで、在学中や卒業後に、ご自身のキャリアにどのような影響がありましたか。
A コンサルタント会社に就職した最初はアナリストの仕事が多かったので、データ分析などプロジェクトレポートで取り組んだ経験が役に立ったと思います。プレゼンテーションの準備なども役に立ちました。プロジェクトメンバーの選定の際など、研究科や東工大の出身ということが役に立つこともありました。
イノベーションマネジメント研究科に進学していなかったら、中国に戻って仕事を探すなど、日本で就職をしていなかったかもしれません。多様な社会人の方を知ることで、日本企業の特徴を知ることができ、自分にあった会社に就職することもできました。今の職場は、良い意味で柔軟な人が多く、仕事や話が進めやすいと感じています。金融系など従来の日本企業は、お堅いイメージを持っていました。
Q ご自身の学生生活を振り返って、学業など入学前の目的は達成できましたか。また、卒業後の研究活動についてお教えください。
A 元々理系出身だったので、社会科学系の授業についていけるか心配でしたが、進学前のイメージとは違ってやり遂げることができました。イノベーションマネジメント研究科の先生は、比嘉先生をはじめ、みなさん、相談がしやすいと思いました。
Q 受験を考えている方(とくに留学生)へのメッセージをお願いします。
A 研究テーマはいろいろありますが、少しでも興味があればチャレンジしてもらいたいです。IT関連など興味がある方は、比嘉先生に、相談されることをおすすめします。留学生の方で日本企業で働きたいという希望があるのなら、他の研究科よりも就職に役立つ環境が整っていると思います。社会人の方など、まじめに勉強・研究できるようにサポートしてくれる環境も整っていると思います。